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2021年年頭のご挨拶『輝輝恩光』

新年あけましておめでとうございます。
2021年、令和3年の新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。
皆様におかれましてはご健勝にて清々しくお過ごしのことと存じます。
本年も弊社、トモエ自工に引き続きの格別なるお付き合いの程、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

昨年は「コロナ禍」に振り回された一年となり、毎日報道される「今日の感染者数」に一喜一憂する日々を過ごすこととなりました。その「禍」の終息は未だ見えず、私共も五里霧中の状況で難しいサービス展開を強いられております。ワクチンが行き渡るなどにより、一日も早いウイルス拡散の終息を切にお祈り致します。

さて、そんな先行き不透明な中、今年の我が油圧クレーン業界はどのような様相を呈するのでしょうか?
私は今年起きるであろう油圧クレーン業界の「禍」を挙げたいと思います。

それは、クレーン車の 『ASSET VALUE COLLAPSE』 (資産価値の信用崩壊)です。
それは、本来、油圧クレーンの得意領域ではない160t吊り以上の領域で発生するであろうと予測します。5年ほど前から、私は油圧クレーン車の新車の登録に関しある違和感を抱えてきました。それは「そんなでかいクレーンを何台も買ってどうするの?」というものです。
国内のクレーン総台数、総トン数、クレーン会社数は基本的にGDPの伸びに比例していなければならないと私は考えています。「ならない」というのは、それが自然なことだからです。油圧クレーンは国のGDPを伸ばすために存在するもの(生産財)だからです。

それがどうでしょう。この5年間の総トン数の伸びは。クレーン会社数はほぼ横ばい、総台数は微増です。ただ、総トン数は130%も伸びています。特に増加しているのは160t以上のオールテレーンクレーンです。また、120t以上のクローラークレーンも増加しています。

オペレーターの数は減少しているんですよね?高齢化も進んでいるんですよね?熟練した技術、経験を持たないと乗車、操作できない超大型クレーンが乗り手が増えてないのになんで増加するんですか?油圧の1200t吊りって現在日本に15台くらいあるんでしたっけ?1200t吊り!ですよ。そんなにいります?結論から言いましょうか。いらないです。
では、なぜ、そんなクレーンが国内に増殖するのでしょう。それは金融が流れ込んでいるからです。

お金の使い道が見つからない銀行、リース会社が「動産運用」と称し、クレーン車の購入資金を提供しているのです。本来、そんな与信の付かない会社に対してどんどん枠を広げて資金を積み増ししていきます。「与信が付かない」=「サブプライム」なんです。これは、クレーン車の「サブプライムローン」なんですよ。
金融会社がサブプライム与信を広げる根拠、理論的な支柱として必ず持ち出すのが「クレーン車の安定した市場価値」、そして、その「高い流動性」(現金化のしやすさ)です。すなわち、なにかあったらクレーン車を引き揚げて売却すれば良い、という考え方です。

確かに、クレーン車にはそういう側面があることは事実です。近年開催されているオークションを見ても、初度登録から16年~18年経過しても新車価格の30%程度の価格で取引されています。
ただ、それは、そのクレーン車が「汎用性がある」からです。そのクレーン車が本来、移動式油圧クレーン車の持つ良い部分を保持しているからです。移動式油圧クレーン車の良い部分とは簡単に言えば、「ワンマンで現場に行き作業できる」こと、「4連操作により作業速度が速い」こと、です。この2点が市場で認知されているからこそ使用価値を生むのです。

クレーン車は一括りではありません。私は上記の移動式油圧クレーン車の良い部分を持つトン数は5t~120tまでと考えています。良い部分を持つから汎用性があり安定した市場価値につながるのです。
国内に必要のないトン数のクレーンが金融機関の思惑により増殖しています。

今年、資産価値の信用崩壊が起こるのは、そろそろ金融機関の審査部が与信を積み増してる営業部の詭弁に気づくからだと思っています。
そういう超大型のクレーン車は「稼働していない(返済原資を生んでいない)」し「再販性(流動性)が極めて低い」からです。
気づいたらどうするのでしょうね。
半沢直樹がバンカーとしての信条を3つドラマの中で言ってました。

1. 正しいことを正しいと言えること
2. 組織の常識が世間の常識と一致していること
3. ひたむきで誠実に働いたものがきちんと評価されること

クレーン業界が本来ある正しい姿に戻る為、今年は金融機関の方々に覚醒してもらいたいです。