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『G-stand』制作秘話 [side : B]

今回は 前回の『G-stand』制作秘話[SIDE:A]クリエイター側の視点に引き続き [SIDE:B]としてクライアント側の視点を掲載します。

社長の木村へのQ&A

Q.いつごろから会社の新しいロゴ、フォントについて考えていたのですか?
佐藤さんについてどう思いましたか?

弊社の30周年にあたり、新たなテーマ・コンセプトを表現するべく、今年の3月ぐらいから様々なフォントデザインに関する文献をあたっていました。時代の風潮なのか、柔らかい「軟」なイメージのフォントが多い中、佐藤さんのフォント《MDKette》には鎖・鉄につながるクレーンにふさわしい「硬」のイメージを感じました。

使用許可や金額などについて聞きたいところもあったので「社名に佐藤さんのフォントを使ってよろしいでしょうか」とメールをしたところ、すぐに佐藤さんから返信がありました。「使用に当たって金額は関係ありません。木村さんが値付けをしてください。1円でも構いません」。この言葉に佐藤さんのデザイナーとしてのプライド、凄み、そして、デザイナー魂を感じました。「お金の大小ではなく自分の作品を評価し価値を認めてくれる顧客に使用してほしい」というクリエイターとしての矜持です。

弊社のグループ会社にも「東京車輛」という高所作業車などを製造する会社があります。ものづくりの現場を持つグループのトップとして、この人に依頼すれば必ずや良いものを生み出してくれるはずだと信頼を寄せました。

Q.ロゴマークは、佐藤さんは一案だけを示されたそうですね。

正直、戸惑いました。ロゴマークに関しては、「SONY」や「KIRIN」、「Apple」のような「マーク」を見ると会社をイメージできるようなものについて「クレーンのフック」の意匠をモチーフに考えてほしいとは伝えていました。なんとなくですが、5点くらい候補を用意してくれて、その中で打ち合わせを繰り返しながら最終的に1案を絞り込んでいく-といったプロセスを想像していましたから。まるで、知らない喫茶店に入りメニューを見る前に味のある老マスターから「これにしておけ。これがいちばんうまい」と問答無用でキリンマンジャロを薦められたような(笑)。

プロって先が見えるんでしょうね。いろいろ検討しても結局絶対これになるっていう未来が見えるというか。あと、プロトタイプの提示はモノクロだったので、戦国武将の家紋のように見えたのも覚えています。「風林火山」的な旗を作ろうかとすぐに考えました。いつか瀬田の橋にこの旗を掲げてみせます!!

トモエ瀬田の旗

Q.今回のロゴは「紫」が基調ですが、なにかこだわりがあったのですか。

新しい弊社のイメージカラーの候補としては当初、「白」(富士山の雪)、「茶」(静岡の茶畑)、「青」(駿河湾のイメージ)、自分の好きな「金色」などありました。鉄をイメージするグレーメタル系(ラメ入り)がいいかなとも思いましたけど、ただ、これまでのロゴの色がオレンジ色という暖色系だったので、今回は一新して寒色系にしようと決めました。

弊社の設立年月日を調べて、バカラ数秘術に当てはめてみると弊社を表す数字は「9」、これのイメージ色が紫だったんです。孤高で気高いイメージにも合うと思いました。赤みが強い紫をイメージしていました。「バイオレット」ではなく「パープル」ですね。最初の佐藤さんの紫はシアン50、マゼンタ100でやや赤みが強すぎたので、依頼してシアン60+マゼンタ80の紫にしてもらいました。オリジナルカラー『トモエパープル』の誕生です。

Q.新しいシンボルにどんなことを期待しますか。

すごく良いものができたと喜んでいます。何か弊社にとって大きな次の転機がくるまでこのデザインは使い続けると思います。会社もより成長し、マークもクレーン業界の人たちに認知され、「G-stand」、「トモエパープル」が広く知られることを期待します。ロゴマークを通じて「2015年現在」(コンテンポラリー)を伝えることができるとともに、「トモエ自工」といえばこのマーク、となってほしいと願っています。